14、一難去ってまた

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「で、紗那は月見里さんとはどうなの?」 「え? どうって……」  急にその話題に触れられて思わずビールを飲む手を止めた。  美玲は半眼で私を見つめて口もとだけは笑みを浮かべながら話す。 「彼、公の場で交際宣言したでしょ」 「あー、あれは優斗から庇ってくれるためにわざと」 「本人は本気だと思うわよ。でなきゃ、周囲の前でそんなこと言えないわよ」 「そう、だよね」  もうずっと付き合わないかって言われてること、美玲に話したほうがいいかな? 「まあ、急にそんな気にはなれないか。元カレと苦労して別れたばかりだしね。不安だってあるよね」  美玲のその言葉に少し安堵してしまった。  そう、私は正直怖いと思っている。  千秋さんはあんなに優しい人なのに、彼も付き合ったら豹変するんじゃないかって思ってしまっている。 「失礼だと思うんだけど、今は男の人とどうにかなりたいって思わないかも」  どう返答すべきか少し迷って、そんなことを口にした。  彼に惹かれていることは自覚している。だけどそれだけで付き合う気にはなれない。私にはもう少し時間が必要なのかもしれない。
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