14、一難去ってまた

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 あれから私は頭に靄がかかったような感じで、うまく頭が働かなくなった。ここ数日はほとんど眠れていない。  千秋さんからメッセージが来たけど、疲れているからとやんわり返事をして、それから連絡を取っていない。  以前の私ならすぐ彼に甘えてしまっていただろう。  けれど、そんな気になれなかった。  私は仕事でミスが続いて、上司に呼び出されることになった。 「石巻さん、最近どうしたんだ? 君らしくないよ」 「すみません、気をつけます」 「体調が優れないなら休養とってもいいんだよ」 「大丈夫ですから。頑張りますから」  こんなことで仕事を休むなんてしたくない。  それこそ社内で変な噂がついて回っているのに、今休んだらなんて言われるかたまったものじゃない。  せっかく時間が解決してくれると思ったのに、そう簡単にはいかないみたいだ。 「実は君の噂も耳にしているんだ。部署の空気が少々乱れていてね」  上司は困惑の表情でそう言った。  私はただ謝るしかなかった。 「本当にすみません」  こうして私は大事な案件から外されてしまうことになった。これから仕事を頑張ろうと思っていた矢先にこんなことになるなんて思いもしなかった。
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