14、一難去ってまた

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 お昼休みにトイレに行くと女子社員のひそひそ話が聞こえてきた。  私の話題だとすぐにわかり、トイレの前で立ち止まる。 「石巻さん、プロジェクトから降ろされたらしいわよ。代わりに一つ上の先輩社員が引き継ぐんでしょ」 「それ知ってる。その彼が自慢げに話してたもん。石巻さんに勝ったとか言ってダッサ」 「ほんと。まあでも石巻さんもなんか偉そうだったしね。私仕事できますオーラ出しまくって可愛げがないっていうの?」 「わかる。あれじゃ浮気されても仕方ないよね。どうせプライベートでも偉そうにして男を萎えさせてたんじゃないの?」 「やだ。言い過ぎー」  きゃっきゃと他人の悪口ではしゃぐ女子社員たちの声を聞きながら、私はそっとその場を立ち去った。  ああ、会社には敵しかいないんだ。全員が私を咎めるような目で見ている気がしていたたまれない。  私はどこへ行けばいいんだろう?
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