2、彼の裏切りと女の匂わせ

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 美玲が写真に写る男の手をスマホ画面ぎりぎりまで拡大する。  私はそこにあるわずかな違和感をじっくり見つめた。  男の指先、それも左手の人差し指の先だ。  爪の端が少し欠けてそのまま肉に切り傷がある。 「あー、これ。包丁で切ったんだろうね。料理とかするのかな?」  美玲がそう言って、ますますはっきりした。  だってこれは優斗の傷だから。  彼は怪我をしたと大袈裟に騒いで散々私に愚痴を言って、二度と料理しないとぶつぶつ言って。  私が手当てをした傷だから!! 「これ、優斗かもしれない」 「やっぱりか……でも、これだけじゃグレーかな。顔が見えないんじゃ」 「うん」  顔は見えない。  だけど、この手は優斗に間違いない。  傷がなくても5年一緒に過ごして間近で見てきた男の手を間違えるわけがない。 「大丈夫? 紗那。今日どっか泊まる? あたしも付き合うよ」 「いや……大丈夫。まだ、そうと決まったわけじゃないし」 「こう言っちゃなんだけど、別れるなら早いほうがいいよ。結婚しちゃったら取り返しがつかなくなるから」 「……わかってる」  わかっているけど、今は正直、頭の中が混乱してどうすればいいのかわからない。
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