2、彼の裏切りと女の匂わせ

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 やだ。気持ち悪い。  いつから乃愛と会っていたの?  乃愛と浮気していたの?  乃愛を抱いた手で私のこと抱いたの!? 「最悪……キモチワル」  吐き気がしてきてトイレに駆け込んだ。  猛烈な嫌悪感が襲ってきて腕に蕁麻疹が出た。 「やだ、やだ、やだ……サイテー」  勢いでトイレットペーパーをカラカラしてしまった。  長く伸びたペーパーをくしゃっと握りしめる。 「え、何……帰宅が遅くなっていたのは、仕事じゃなくて……?」  そういえば、残業の日はいつもリビングに入る前にお風呂に直行する。  もうずっとそうだから気にしなかった。  けれど、そういうことならずっと前から乃愛と関係があるってことだよね?  少なくとも去年のクリスマスは乃愛と会っていた。 「おーい、紗那。俺のメシは?」  トイレの外から優斗の声がした。  そのセリフにも腹立たしさが込み上げて、私はトイレのドアを思いきり睨みつけた。  優斗が他の女と会っているとき、私はクタクタに疲れた状態でご飯を作っていたの?  最悪。もう無理。優斗も優斗のお母さんも無理。
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