2、彼の裏切りと女の匂わせ

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 呆気にとられていた優斗はみるみるうちに怒気のこもった表情になった。 「お前、なんだよ。ここ最近うざいんだよ。昔はもっとおしとやかで綺麗な女だったのに、最近は愛想がなくてうるさいだけじゃん。婚約したから安心したんだろ? そういう女ってダサいよ?」  頭の中に???????が飛び交った。  何言ってんの、こいつ。 「私がどうして変わったのか、わからないの?」 「だからさー、彼氏が結婚相手になったから気持ちが緩んでるんだよ。婚約する前はもっと女らしかったじゃん。下着だって可愛かったのに今じゃおばちゃんみたいなやつ着てるじゃん」  かああああっと顔が猛烈に熱くなった。  怒りで震えたのは初めてかもしれない。 「家賃も光熱費も払って食費も日用品もぜんぶ、私のお金で払ってるからでしょ! おかげで自分にお金がかけられないのよ!」 「そんなの俺の知ったことじゃねーよ。紗那が勝手にしてるだけだろ」 「一度でも自分が出そうと思ったことある? ないよね。いつも自分の好きなものばっかり買って散財しているもんね」 「あーうるさい! うるさい! 俺、今日は友だちんとこ泊まるわ」  そう言って優斗はソファから立ち上がり、寝室に着替えを取りにいった。  さっさと荷作りをする優斗の背中を見て思う。  友だちのところじゃない。乃愛のところへ行くんだ。
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