3、見知らぬ男と過ごした夜

10/11
前へ
/317ページ
次へ
「あの、ごめんなさい。なかったことにしてください……そういうわけにはいかないですか」 「……何が?」 「えっと、だからその……昨夜私たち、いたしましたよね?」 「いたしてないよ」 「え?」  彼は髪をかき上げた状態でじっと見つめてくる。  いやそれ、最高なんですけど(えろくて) 「だって、君はこの部屋に入るなり爆睡したからね」 「あ、そうですか……でも」  下着姿だからてっきりやらかしたと思っていたのに。  そんな疑問を察したのか、彼は理由を述べた。 「君は自分の部屋だと思ったんだろうな。勝手に脱いで床に散らかしていたよ。だから畳んでおいた」  彼が指を差すソファの上には私の衣服が丁寧に畳んだ状態になっている。  家事スキルが高いと見た!! 「ありがとうございます。実は昨日の記憶がおぼろげで。この部屋に来たところまでは覚えているんですけど」  彼はにこやかに答える。 「そうなんだ。こっちはやる気満々で来たのに肩透かしを食らった気分だよ」  ですよねー。  男とホテルに来てまじで爆睡する女ってどうなんですかねー。
/317ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7873人が本棚に入れています
本棚に追加