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「月見里さん、傷心の私をからかって楽しいですか?」
私が抗議の目を向けると、彼はきょとんとした顔をした。
「どういうこと? 俺はこの前言った通り親戚が運営するマンションを紹介してるだけだよ」
「だ、だってここ、家賃すごいでしょ?」
「そんなことないよ」
「そんなことありますよ! 騙されませんからね」
私はスマホでこのマンションの家賃を調べて彼に見せつけた。
「ほら、1LDKで一番安くて21万じゃないですか」
「ああ、理由があるんだよ。とりあえず入ろう」
いまだ疑心暗鬼な私に彼は笑顔で穏やかに言い放つ。
「安心して。部屋に連れ込んで何かしようと思っていないから。今日はね」
「今日は……?」
表情を歪める私に彼は笑顔のまま告げる。
「この前未遂だったから。次こそはきちんと最後までしないとね」
「え? ちょっと意味がわからないんですけど」
すると彼は私の肩に手を添えて、わざわざ顔を近づけると耳もとでそっとささやいた。
「ホテルまで行っといてなかったことにできると思う?」
本性出したなーっ!!!
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