4、引っ越し先を探します

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「嘘も方便と言うだろ」 「どうしても理解できません。なぜ、私にそこまでしてくれるのか」 「同じ会社で素性が知れてる。君に会うのはこれで3回目。君が引っ越し先に困っている。一夜を過ごした仲。これで十分だろう」 「たぶん最後の理由が一番大きいですよね?」  すかさず訊いてみたら彼は驚いた顔で答えた。 「そうだよ」 「失礼します」 「待て待て」  くるりと向きを変えて帰ろうとしたら彼に肩を掴まれた。 「堂々とそんなことを口にするなんてあまり賢明とは言えないですね」 「隠すよりマシだろ。だいたい女を騙すような野郎は表では見せないからね」 「たしかに」  優斗もその前の彼も付き合う前は聖人のように優しかった。  月見里さんが絶対的に信用できる人物かは半信半疑だが、とりあえず仮住まいをしてこれからゆっくり私にふさわしい物件を探していくのも悪くない。  ここよりいいところなんてほぼないけど。 「ひとつ懸念があります。あなたの彼女だなんて言って、従姉さんに嘘ついてバレたらどうするんですか?」 「他人に興味なんてないよ。みんな自分の生活が精一杯だから」 「そうですか」  深く関わることはないだろうから、まあいいかな。  せっかくのご縁だし(家の) 「では、よろしくお願いします」  そう言うと、彼は満面の笑みになった。  その表情はかっこいいというよりも、可愛いなと思った。
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