5、 マザコン彼氏に別れを告げた夜

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 もういい。  これ以上話しても無意味だ。  家賃や光熱費のことは気になるけど、もう一秒たりとも優斗と一緒にいたくない。  私は黙って自分の荷物をスーツケースに詰め込み始めた。  優斗は不貞腐れてソファに座り、大音量でテレビを見ている。  私が出ていくとき、優斗はソファに座ったまま大声で言い放った。 「後悔しても遅いぞ!」  誰が後悔などするものか。  私はただ「さようなら」と言ってドアを閉めた。  夜道の中をガラガラガラとスーツケースがうるさく音を立てる。  冷静に考えてみたらいろいろやるべきことがまだ残っている。  だけど、これ以上あの空間にいたら精神的にやばい。  今は心を守ることが先決だ。  急に足が止まった。  と思ったら、いきなり目から涙がぼろぼろこぼれ落ちた。  よくわからないけれど、涙が止まらないのだ。  周囲の目を気にするでもなく、ぐしゃぐしゃと泣いてしまった。  しばらくしたら頭がすっきりしてきたので、スマホを取り出して電話をかけた。  相手が出ないので、こちらが諦めて切ろうとした瞬間に、応答があった。  私は涙を拭って平静を保ちながら声を発した。 「すみません。お願いがあるんですけど」  私は電話をしながら足早に最寄り駅へ向かった。
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