1、私はただの家政婦ですか

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 それは3ヵ月ほど前のこと。  いつものようにスマホの着信通知を見て、うんざりした。  そこには『優斗の母』と表示されている。   「何時だと思ってんの? ほんと非常識にもほどがあるわ」  壁時計に目をやると朝の6時前。  放置したいのだが、あとでまた嫌みだらけのメッセージが立て続けに届くので、とりあえず出る。 「……はい」 『紗那さん、おはよう。今日は晴れていい天気よ』 「……そうですね」  そんなことで電話してこないでほしいんだけど!  こっちは出社前の修羅場なのよ! 「えっと、ご用件を」 『ああ、そうそう。同居の件だけど考えてくれた? 早くしないと挙式に間に合わないわよ。披露宴の準備に引っ越しも重なったら大変でしょう? なるべく早く行動しておかなきゃだめよ』  この話、朝6時からすること!? 「そのことですが、優斗くんと相談しますので少し待ってもらえますか?」 『まだ話し合っていないの? 大事なことを後回しにしちゃだめよ』  だったら息子に直接言ってくださいよ! 「すみません、お義母(かあ)さん。お弁当を作らなきゃいけないので、この件はまたのちほど」 『あらそう。優斗にあまり揚げ物を食べさせないでちょうだいよ。うちでは健康管理をしっかりやってきたのだから。でも、紗那さんみたいな有能な女性なら安心して任せられるわ』 「ははっ……ありがとうございます。それでは失礼します」 『ああ、あのちょっと……』  ぷつんっと電話を強制的に終了させた。
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