6、つかの間のなごみ

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「月見里さん、日本文化が大好きなんですね。でも壁ドンは漫画の中だけで許されることであって現実にされたらドン引きです」 「ああ、そうか。ごめん」  彼は素直にそう言って私から離れてくれた。  本当に今まで出会ったことのない人種で、いちいちドキドキしてしまう(深い意味ではない)  彼は特に表情を変えることもなく冷静だ。 「いっそこの部屋で暮らせばいいのに」 「え……?」 「そうすれば月に10万の貯金ができるよ」 「いいえ、そこまでお世話になるわけにはいきませんし、一緒に暮らすなら当然家賃と光熱費の負担はしますし、それに私たちが一緒に暮らす意味もよくわかりませんけど」 「大丈夫だよ。表向きは俺の彼女だから」  忘れていた。私、いつの間にか月見里さんの彼女になっていたんだ。 「もういっそ付き合ってもいいけど」 「え? 軽っ……!」  こんな簡単に付き合っちゃうの? この人。  それに、私はまだ完全に優斗と縁が切れたわけじゃないからもし付き合うならちゃんとそっちを清算してからじゃないと。  って、私も何を期待しているんだ!!!
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