6、つかの間のなごみ

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 優斗の母のメッセージはまだ続いた。 『かわいそうにあの子何も食べていなかったわよ。私がおかずを持っていったけど、最近ずっと仕事でストレスが溜まっていたみたいよ。あなた、気づかなかったの? それでも女なの? 女ならいつでも男の体調を確認して、体に合う食事を用意しなきゃいけないでしょ。あなたはしっかりしているから大丈夫だと思ったのに、結婚前からこれじゃ、先が思いやられるわ。とにかく、一度うちへ来なさい。話し合いが必要だわ。それと、優斗が浮気したですって? それが何だというの? 浮気なんて男なら誰でもするわよ。結婚前なんだからそんなささいなことでうるさく言わないの。蚊にかまれたとでも思いなさい。どうせ妻が一番なんだから。ああ、そうそう。このあいだ友人の旦那が引っ越しするときトラックを出してくれると言っていたわ。ありがたいわよね。やっぱり持つべきものは信頼できる友人よ。あなたもこんなことでぐちぐち言ってないで、もっと人との信頼関係を築いたほうがいいわよ。優斗のためにもしっかりしてね。それじゃ、早めに連絡してちょうだいよ』  ぶつっとメッセージが途絶えた。  私はもうどこから突っ込めばいいかわからなくて、放心状態だった。
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