7、毒にやられまくった日

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「やだぁ、いきなり撮らないでよ。髪が乱れちゃったじゃん」  乃愛は写真を撮られたことより、写真の写り方を心配していて笑えてきた。  対する優斗はしっかり怒りの表情をしている。 「何やってんだよ、紗那」  私は冷めた目でふたりを見下ろしながら告げる。 「婚約破棄の理由になる証拠写真です。優斗の有責だよ」 「お前、性格悪いよ? 人としてサイテーだよ?」 「どうぞ吠えてください。では、さようなら」  もう優斗の顔も見ずに勢いよくドアを閉めて外に出た。  その瞬間、ドッと疲れが出て倒れそうになった。  気が緩んだせいかもしれない。  もしくは、もうこの家は私の居場所ではなくなったからかもしれない。  毎日帰ってくる場所だったからなのか、妙に切なくなった。  マンションを離れたところで電話がかかってきた。  スマホ画面に表示されているのは『優斗の母』だ。  なんというタイミング。というか、優斗が連絡したのだろうか。  何を言われるのか、だいたい予想はできる。  覚悟して通話を押すと、優斗の母の高らかな声が耳をつんざくように響いた。 『ちょっと紗那さん、結婚をやめるってどういうこと?』
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