7、毒にやられまくった日

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 私はあくまで冷静に答える。 「そういうことです。詳しくは優斗くんに聞いてください。あちらに原因がありますから」 『たかが浮気で心の狭い女ね。あたしの頃はねぇ、浮気する男ほど甲斐性があるって……』 「はい。私は心が狭いのでどうぞ他のお嫁さんを探してくださいね」 『もう親戚やご近所にも報告しちゃったのよ! どうしてくれるの?』  そんなこと私の知ったことか。 「なんなら、浮気相手の乃愛ちゃんをお嫁さんにしてあげたらいかがですか? 優斗くんにもそのようにお伝えしておきましたから」  言いながら、本当に自分が言っているセリフなのかわからなくなった。  それほどに私は感情が高ぶっていて、もう優斗母相手に遠慮する気も起こらない。 『まあ、なんて意地の悪い。あなたがそんな性格だなんて思いもしなかったわ。優斗が可哀そうよ』 「可哀そうなのは私ですよ。勘違いしないでください」  強い口調で返したら、向こうは急にもごもごした。  どうしても私を悪者にしたいのか、優斗母は矛先を私の家族へ向ける。 『だいたいあたしは最初から気に入らなかったのよ。あなたの両親も愛想のない陰気な人たちだし……それにね、両家の挨拶のときにあなたの母親は』 「もう、いいですか?」 『はあ!?』  途中であっちの言葉を遮ったら、優斗母はすっとんきょうな声を上げた。
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