7、毒にやられまくった日

10/14
前へ
/311ページ
次へ
 こんなの慣れてる。大丈夫。  私は傷ついたりしない。  拳を握りしめて涙が出ないように歯を食いしばる。  すると、母は険しい表情のままひとつの提案を口にした。 「あなた、家事をするなら戻ってきてもいいわよ。もう洋ちゃんの世話は疲れたのよ」  どくんっと胸の鼓動が大きく鳴った。  母は真顔で続ける。 「月に10万入れてくれればいいわ。家賃だってそれくらいかかるでしょ。洋ちゃんがいつ社会復帰するかわからないのよ。あなたには自由にさせてやったんだから、そろそろ家族のために尽くすべきよ」  自由!?  中学高校はずっとこき使ってきたくせに呆れる。  それとも大学で寮生活をしたことが自由なの? 「あと、あんまりご近所を歩かないでよ。恥ずかしいから。あぁ……どうしてうちの子はこんなに親不孝なのかしらね」  逆に訊きたい。  どうすれば私はお母さんを満足させられるの?
/311ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7151人が本棚に入れています
本棚に追加