1、私はただの家政婦ですか

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「あのさあ、紗那はもっと肩の力を抜いて生きたほうがいいよ。でないと疲れるよ」 「誰のせいなのよ! だいたい同居なんて私、聞いてなかったよ」  優斗はクロワッサンの欠片を口の端につけたまま、きょとんとした顔で言い放つ。 「え? 何言ってんの? 俺が長男だって知ってて付き合ったんだろ?」 「そうだけど、それとこれとは別……」 「母さんさ、嫁ができるの楽しみにしてたんだよ。紗那と一緒に暮らしたいってずっと前から言ってたんだよ。それくらい紗那のこと好きなんだって」  笑顔でスラスラと述べる優斗に、返す言葉も見つからない。  なぜなら、彼はまったく悪意なくそんなことを言うからだ。  朝からイライラしたくない。  だから、話し合いは夜にすればいいのだが、今日ばかりは早朝からの非常識電話のせいで私のイライラはピークに達していた。 「はっきり言うけど、あなたのお母さんが私と暮らしたい理由は、おばあさんの介護を私にさせるためだよね?」  優斗は驚いた表情で、グラスの水をごくんと飲んだ。  そして、私に困惑の表情を向ける。 「落ち着けよ。まだ何も知らないうちからそうやって神経質になるのはよくないよ。ばあちゃんはたしかに要介護になったけどさ、母さんがしっかり介護してるんだから。紗那は今までどおり仕事ができるんだよ?」 「でも、同居したら無視できないよ」 「考えすぎだって。ちょっと母さんの手伝いをすればいいんだからさ。そんなに気にするなよ」  あ、これまったく考えてないやつだ。
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