7、毒にやられまくった日

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 小学校の頃まで母方の祖母と同居だった。  母も祖母も感情的な人ですぐ怒るから、ふたりとも喧嘩ばかりだった。  母はその苛立ちを私にぶつけて、代わりに兄を溺愛した。  だから祖母は私の味方になってくれたけど、それも母は気に入らなくてまた喧嘩を繰り返す。  父は何も言えない人だから家に帰りたくなくてパチンコに行き、勝ったら私にいっぱいお菓子をくれたけど負けたら部屋にこもって出てこなかった。  祖母はそんな父が嫌いで、なんでこんな男と結婚したんだって母を責めて、母はその苛立ちを今度は私にぶつけた。  そんなことばかり繰り返してきてうんざりしたので高校を卒業したら家を出た。  奨学金を借りて大学へ行き、寮生活をした。  同じ寮の子たちと一緒にごはんを食べたり夜中までおしゃべりしたりしてそれなりに楽しい学生生活を送った。  ところが、大学を卒業して就職が決まったら母に帰ってこいと言われた。  その頃ちょうど母が腰を痛めたので、代わりに家事をすることを理由に。  私は断れなかった。  あれだけ嫌な思いをしたのに、母に頼られることを嬉しく感じた。  どうしてなのか自分でもわからない。  私には家族を切り捨てることができなかった。  だけど、さすがにもう無理だ。
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