8、解毒されました

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「こうなったのもぜんぶ、自分の責任だってわかっているんです。彼や彼の母から理不尽なことを言われても、我慢しなきゃって謎の根性論がわいて」  私はフォークにパスタをぐるぐる巻きつけながらぼやいた。 「彼の母は、彼が体調を崩したり何かあるとすぐ私の管理ができていないからだって言うんです。すごーく丁寧に長々と説明してくれるんですよ。あなたが悪いのよって」  フォークに巻きつけたパスタを口に入れることもなく、ただため息が漏れる。 「まあ、フツーそれで別れますよね。おかしいと思ったら。でも私、育った環境がアレだから、自分が悪いのかもって思っちゃって」  子ども頃から、母が何か気に障ることがあると私が悪いんだって言われ続けてきた。  原因はよくわからないのに、一方的に責め続けられるとだんだん感覚が麻痺してくるのだ。  いつの間にか子どもの私は考えることを放棄した。  そのほうが穏便に済ませることができるから。  反抗したって相手が逆上するだけで、冷静な話し合いなんてできないのだから。 「でも、今よく考えてみたら、私何も悪いことしてなくない? って思うんです」 「うん。何も悪いことはしていないよ」  月見里さんから穏やかな表情で肯定されたら、とたんに涙がだばだば流れた。
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