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9.「エソラゴトと言われたってかまわない」
「お月様帰ってきてるとき、いつも気遣ってくれてアリガト。でも、エッチ誘って生理来なくしようはないよ」
「……わるい、マジ。後から調べた」
「だってあれ、プロポーズみたいなものだもん。もうちょい浪漫が欲しいよ」
「んなもん、求めんなよ。その、言うときだって、日常んなかで自然とだよ、きっと」
「んー。だといいな」
誰かと食べられることに、感謝。
誰かの命をいただくことに、感謝。
誰かに料理できる身体があることに、感謝。
「チーズとかカロリー高いから、今度、お月様帰ったらさ。ベッドの上でめいっぱい愛して、消費手伝ってね!」
「お前だって、品ねーじゃん……」
断る気はねぇけど。そう言う葉介に、にっこり笑って頷いて笑実は有難うを言った。
少なくともこの二人の幸せというものは、何もかも〝おいしいものへの感謝〟から派生した、温かくて舌触りがよく。優しい味わいだった。
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