2.「いつまで悩んでても、ウマいもんは出来ないし! 行動!」

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2.「いつまで悩んでても、ウマいもんは出来ないし! 行動!」

 項垂れて頭を抱え、落ち込んだが、いつまでもそうしているわけにはいかない。必死にノートに向き合った。書いては、消して。書いては、消して。頭をかいて、うんうんと唸り悩んでいたが、あー! と閉じて机に突っ伏したその葉介のノートには〝笑実ご機嫌レシピ〟とあった。  何がご機嫌なのかというのは、お察しの通りだ。葉介は料理が得意で好きで、笑実のハートも胃袋を掴んでこそであったと言っても過言でないほど、彼女も葉介の料理が大好きだった。この二人の付き合いの縮図でも、おいしい食べ物や、料理と言うものは大切な鍵になっている。  ため息をつき、肩を落としたあと、携帯を手にする。時刻はもう、十八時半。夕飯、作らないと。そう思い、腹が鳴ることで多少の意欲は湧くが、笑実のご機嫌をとるためのレシピも組み立てなければいけない。ああ、今彼女は何が食べたいのだろう。甘いものだろうか、酸っぱいものだろうか。和食だろうか、中華だろうか、洋食だろうか。聞いてしまって注文をつけてもらえれば大抵のものは作ることが出来るが、それが出来ない喧嘩中となると、葉介はいつも頭を抱えて直感で笑実の好みを把握していた。  起き上がり、ぺら。とノートのページをめくる。一昨日は手巻きだったし、その前はおやつでパンケーキ。その日のお昼にはミニオムレツ、前日の夜は魚の煮つけ。どれも美味しくてほっぺた落ちる、と、ぴかぴか笑顔で笑っていた彼女は、ハムスターのようにも見えたが、基本的に何でも好き嫌いをせずで食べる性質だったので、葉介にも作り甲斐があったのだ。  家庭科の授業、試食中に本格的に気になりだした、なんて付き合いだして言われたときは、少し考えどころだったわけであるが……。  ──料理は、アイデア勝負。葉介はすぐにすぐそばにあった棚から料理本を取り出し、それを一発でめくったものを、アレンジすることにした。ようはノリと楽しさで作らなければ、おいしいものだって作れないのだ。
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