3.「俺の恋人、サイコーに食いしん坊!」

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3.「俺の恋人、サイコーに食いしん坊!」

 開いたところにあったのは、カレー。変哲もないカレーのレシピだ。そういえばこの間、ルーを買い置きしておいたな・なんて思い出して、葉介はノートを手にして書き込みだす。もう寒くなってきたから、温かいものが良いだろう。野菜も一通りあったかもしれないが……あ、にんじんが少なかったな。じゃあそこは秋ナスを入れて栄養をカバーして。お隣さんに貰った冬瓜を入れると笑実のご機嫌はアップするに違いない。ふむ。ふむふむ。そう書き出すと、もう止まらない。デザートに、イライラした時は甘い物だ。自家製ベリーフレーバープリン、サラダにはサニーレタス、トマトを彩ろりで淹れたいが冷えの元になるので、少ない量でもにんじんなんてどうだろう。彩りには十分だ。あと……。と考え、よし! と席を立ち、ノートを片手に台所で腕をまくって手を洗った。  いつも通りであれば、笑実は二十時には家に来て、夕飯を食べて泊まっていくだろう。ご近所さんなので、彼女の親も寛大なのだ。先ほども、葉介のアホ! と怒っていた最後には 『夕飯、あんたの分、食べてやる!』  と、捨て台詞のなかで言っていた。それなら来ることは間違いがない、とまずは信じよう。
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