4.「全部、趣味で培ってきた料理の腕だ!」

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4.「全部、趣味で培ってきた料理の腕だ!」

 手始めにカレーを手軽く作りだす。ルーを作るために野菜を煮込んでいる間、サラダの下ごしらえをたりしながら、アレンジであるカレーの大事な部分のため、茄子を半月切りにして水に浸す。その後レンジで皮を向いて面をとった冬瓜を過熱し、二つをくたくたにさせて取り出した後、さっと水にさらして冷やした。それから大きな手のひらでギュッと水気を絞ると、笑実が気に入っているトラとウサギの書かれた器へナスと冬瓜を敷き詰めて、出来上がったカレーをかけて調理用チーズをぱらぱらぱらり。シメに、卵をポットン・と落とした。あとはお察しの通り、トースターでチーズがこんがりするまで焼き上げれば完成だ。  焼き上げるまでの時間が空いているので、お次はプリン作り。もちむぎ茶と水を鍋へ入れて、濃いめに煮詰める。牛乳と合わせて少し嵩を増やし、火を止めて別でボウルのなかへ卵を割って、カラザを器用に取る。砂糖とすりつぶしたキイチゴを加え、泡立てないようによく混ぜる。そして混ぜ終えると、ボウルへ先ほどのもちむぎ茶と水、そして牛乳で煮詰めたものを少しずつ加え、よく混ぜてから魔法の数滴・自家製ベリーフレーバー(バニラエッセンスのベリー版のようなもの)を3滴ほど垂らせば、魅惑の甘酸っぱい香りだ。耐熱容器へ混ぜたそれを注ぎ、沸騰させたお湯が入った鍋で十分蒸せば完成。火が通っているかそうでないかは、竹串を真ん中に刺して軽くプルルンと揺れればOKである。 「よし」  葉介が満足げに頷いたとき。ピンポーン。まさにグッドタイミングでインターフォンが鳴り、ガチャ。と扉が開く音がした。  しかし、いつもの「お腹すいたー」が聞こえてこない。
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