6.「俺の恋人、サイコーに可愛い。」

1/1

4人が本棚に入れています
本棚に追加
/11ページ

6.「俺の恋人、サイコーに可愛い。」

「里芋、うまそうだな。おじいさんたちが作ったいつものウマいやつだろ」  手を洗って手を拭き終え、笑実のピンク色の箸を差し出しながら葉介は、嬉しそうに言う。箸を受け取り、そうだよ、と笑顔で。 「じいちゃんとばあちゃんの、愛情たっぷり里芋。めっちゃうまいし」  でも、味つけもちょっと自信があるんだ。と言うと、笑実は少し恥ずかしそうに。 「実は最近、食べさせるために、ずっと練習してたから」  だから、手をよく怪我していたのか、と葉介は合点がいった。笑実の手は部のマネージャー業で少し傷んでいるようであったが、作りはよろしい。長細い指にツヤのある爪で、いつもよく手入れをしているなと思っていたが、彼女の指先に絆創膏が一つ。また一つ、と増えてゆく様子を葉介は知っていた。どうかしたのか? と問いかけても、飼い猫にやられた。と誤魔化されるだけで。いや、飼い猫にやられたことに関しては、葉介は鈍かったので信じていたのだが、ここでようやく真相を突き止めたのだ。
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加