8.「どんな時も嬉しい感想言ってくれるから、次につながる」

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8.「どんな時も嬉しい感想言ってくれるから、次につながる」

「これ、すっごくイイカンジ。ナスの存在感ありすぎ。これは冬瓜かな? とろとろで、けど蕩けすぎてないで味が出てて、サイコー。カレーとマッチしてて、とろとろチーズと卵の絡み具合もいいね。プリンもすっごく美味しそう。はやく食べたいな、デザートだから我慢我慢。レタスにはやっぱ、葉介手作りで自家製のドレッシングだよね。彩りのニンジンが、すごくキレー。ご飯だって、一人暮らしなのに良いお米使ってるから、まったく飽きないもん。しかも無洗米じゃなく雑穀入りって、すっごいよ」 「どーも。本当、食べてるときが一番、お前は幸せそうだな。うれしーよ」  葉介がそう言って笑い、水を少し口にすると。今更でしょ? と笑実も笑った。もぐもぐと食べたあとに続ける。「わたしは、料理の得意な葉介を、良い旦那さんになると思ってキープしたけど」 「わたしの胃袋は、葉介が部のみんなに初めて作ってくれた合宿料理食べたときから。キープされてたんだもん。おいしすぎた、あれ」 「初めはそんな気もなかったけどな。まあ、部マネの料理の腕が、功を奏した、っていうのか?」 「えー、それみんなに言っちゃおうかなぁ!」 「勘弁しろ!」  あっはは、と笑えてしまうのは、大好きな人と、愛情たっぷりに作られたご飯を食べていられるから。人を幸せにするのは、言葉でもなんでもなくて、おいしい食べ物だよね。どこかの小説の中のお母さんが、言っていた言葉だ。笑実は心底そう思う。 「ねぇ、葉介」 「ん」  ご飯を食べながら、幸せな将来設計。
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