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「ふりゃ」
近付く猫を掃除機の柄で追い払います。
「さあ、どうぞ」
私が声を掛けると保護団体を名乗る四人組が入って来ました。
「二階二グループ、一階に三グループ、縁の下に二グループ、屋根裏には幾つのグループがあるか分かりません。二階のオルガンのある部屋は気性の荒いグループですから気を付けてくださいよ。私は終わるまで外にいますから」
四人が入り外から南京錠を掛けました。5分もしないうちに叫び声がしました。
「開けて、開けて」
四人がドアの前で叫んでいます。恐らく猫の襲撃を受けているのでしょう。南京錠を外しドアを開けると四人が倒れ込みました。その隙に猫が数匹逃亡しました。四人の顔は傷だらけです。年長の女は耳を齧り切られていました。
「救急車呼ぼうか?」
年長の女を抱えるようにしてワゴン車で立ち去りました。この話がまた役所に戻されて例の鬼婆が男を二人連れてやってきました。
「保護団体の代表の方が大怪我をされました。あなた訴えられますよ」
「誰が?それで誰に?」
私は知らないよと伝えました。それでもにこやかに入ったのでした。
「彼等がどうしても猫の写真を撮ると言って入ったんですよ。私は注意しましたが意に介さず入ってしまった。それで猫に襲われた、ばかだよねえ」
私が笑うと鬼婆は目を吊り上げました。
「いいですか、行政処分ですからね」
「行政処分て?」
「猫は全て殺処分されます」
「いやです。私は自宅で仮にも飼っていたペットを無責任に捨てることは出来ません。あなたにはもっと早く助けて欲しかった」
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