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遠距離恋愛してる隼人の家に泊まった翌朝のことだった。
「じゃあ、次に来るのは来月かな。体に気を付けろよ、隼人」
帰ろうとしたら、雪の重みでドアが開かなかった。力を入れるとミシッと怖い音がする。
「えっ……。一メートルくらい積もってるじゃん」
「ゆうべ結構降ったみたいだね。雪かきするのも危なそうなくらいの量だし……。もう一泊する? 湊くん」
隼人がこっちを見る。ドアが半分埋まるほどの積雪量だ、電車やバスも動いてるか分からない。
「そうする……しかないよな。明日も休みでよかった」
「こんなことになってごめんね。去年赴任してから積もることなかったんだけど、今年は特別みたい。大丈夫、食べ物を買い込んだから一週間はもつよ」
ゴムもまとめて買ったしね、と耳元で囁かれ、飛び上がった。
「お前っ、こんなときにHするのかよ⁉」
「僕だって不安なんだよ。この大雪がいつやむかも予測出来ないし、除雪車が来てくれるかどうかも分からないし。心細いから、湊くんと一緒にくっついたら安心出来ると思うんだ」
上目遣いでこっちを見るが、俺より背が高いからあまり可愛くない。
「ちょっと考えさせてくれ。……まだ見てない無料映画があったから、見ながら考える」
廊下から奥の部屋へ行こうとすると、隼人が苦笑した。
「昨日姫はじめしたばかりなのにつれないなあ、僕の恋人は」
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