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第十四話
『コケッコー! これは驚きだぁ! 流石黒鬼高校! 他者を犠牲にすることに躊躇がない! おかげで池にも次々と喰われていくぞ! だけどこれはいい手とも言えるねぇ生き残るためには犠牲も必要だコケッコぉぉおぉお!』
鳥獣鬼餓が叫び映し出される画面には今犠牲になった選手の家族なども同じように鶏に貪り食われる様子が映し出されていた。
「貴様何を考えているんだ!」
大頭が黒井に横付けしジャージを掴んだ。そのまま自転車ごと倒して掴みかかりそうな勢いにも感じられる。
もっとも鶏に追いかけられている現状では下手なことはできないが。
「ハッ。何甘いこと言ってやがる!」
しかし黒井は大頭の腕を跳ね除け言い放った。大頭の表情が曇る。
「まさかテメェらこのまま仲良しこよしやってりゃ皆仲良くお手々繋いで平和にゴール出来るとでも思ってんのか?」
小馬鹿にしたように黒井がいった。大頭がムキになって答える。
「黙れ! それとわざと仲間を犠牲にするのとは意味が違うじゃろうが!」
「は? 仲間? ヴァァアアァアアアッカ! 誰が仲間だ! 本来俺らは敵同士だろうが! それがこんな状況になって急に一緒に協力しましょうってか? 気持ち割ィんだよ揃いも揃って」
黒井のふてぶてしい態度に大頭の米上がピクピクと波打った。太い血管が浮かび上がっている。
「おい! それよりもさっきのは何だ! テメェらあんなもの持ってきてレースに挑んでたのかよ!」
火神が叫んだ。言っているのは毒島が使っていた毒のことだろう。当然だが本来ならルール上ではアウトである。
「あぁそうだよ。それがどうした。勝負なんてもんはな勝てばいいんだよ勝てば!」
両手を広げギャハハと不快な笑い声を上げる黒井に生き残った選手も不快そうにしていた。
『いいねぇ! いいねぇ! その考え私は嫌いじゃないコケッコォオォオォオ! ただし多少は後ろを気にしないといけないよぉ。それに鶏は一種類だけとは限らない!』
鳥獣鬼餓の言葉に選手たちが後ろを振り返る。するとなにやら黒い集団が近づいてきているのがわかった。
「な、何だあれは?」
「黒いにわ、とり?」
「ま、まさかあれは――軍鶏!?」
大頭の声に全員がぎょっとした顔を見せた。軍鶏は闘鶏に使われていることでも有名であり当然至極凶暴で好戦的だ。
それが猛烈な勢いで後ろから追い上げてきたのだ。選手たちの中には恐怖でペダルを踏む足がとまってしまっているのもいる始末。
「お前ら足を止めるな死ぬ気でこげ!」
火神が生き残った選手に向けて呼びかけた。このまますぐに追いつかれてしまう。
火神に発破をかけられ選手たちもケイデンスを上げた。軍鶏が近づいてきていたがまだ逃げることは出来る。
そう考えていたのだが――
「「「「「「「コケェエエエェエエエェエエ!」」」」」」」
軍鶏が一斉に跳躍し背後から選手に襲いかかった。距離があるからと安心していた選手たちも虚をつかれ次々と軍鶏の餌食になっていく――
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