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「ひぇっ!」
至近距離にあるその端正な顔に、マーガレットが悲鳴を上げる。そうすれば、クローヴィスは「それとも、意識した?」と意地悪く問いかけてきた。
その所為で、マーガレットは素直になることが出来なかった。
「そ、そんな、わけ……」
思わず憎まれ口をたたいてしまう。
けれど、マーガレットの真っ赤になった顔を見れば、それが嘘であることなど一目瞭然だ。それはどうやら彼にも伝わっていたらしく、彼は「俺も、同じだよ」と言ってマーガレットの頬に指を押し当てる。
「俺も、あれ以来マーガレットのことを意識してる。……なんていうか、前々からいい子だなって、思ってたんだけれどね」
「……どういうこと、ですか」
クローヴィスの言葉にマーガレットがそう問いかけれあb、彼は「あれ、分からない?」と言って肩をすくめた。
「俺、これでもマーガレットのことを意識しちゃって、緊張していたんだけれどな」
クローヴィスはそう続けるものの、その態度には緊張などこれっぽっちもこもっていないように聞こえてしまう。その所為で、マーガレットは「そんな風には、見えません」と答えてしまった。
「そ、そもそも、旦那様は、私のことなんて――」
――所詮、契約上の妻としか、見ていませんよね。
そう言おうとした。でも、言えなかった。
「んんっ!?」
マーガレットのその口を、クローヴィスが口づけでふさいできたからだ。それに驚きマーガレットが目を見開けば、彼はマーガレットのうっすらと開いた唇に、舌を差し込む。
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