1193人が本棚に入れています
本棚に追加
「んんっ、んぁ……」
ほんの少しの水音が口元から聞こえてくる。さらには頬の内側をつつかれ、舌の付け根を弄られる。それだけで、腰が砕けてしまいそうなほどに気持ちよくて。マーガレットはクローヴィスの衣服にしがみついた。
(いや、気持ちいぃ……!)
嫌なのに。こんなこと望んでいないのに。
そう思うのに、快楽には抗えない。それどころか、官能に火がついたように身体が熱くてたまらなくなる。あのときに与えられた愉悦を思い出し、思わずクローヴィスの衣服に縋る手に力を込めてしまった。
そのまましばらく口づけていれば、クローヴィスはマーガレットの唇から自身の唇を離す。その際に銀色の糸がマーガレットのワンピースに垂れた。
しかし、マーガレットがそれを気に留めることはない。荒い息を必死に整えようと、肩を揺らして呼吸をする。
「ぁ、はぁ」
うるんだ目でクローヴィスを見つめていれば、彼が露骨に息を呑んだのがわかった。その目の奥に宿るのは、微かな情欲だろうか。ぼんやりとする思考回路の中マーガレットがそう思っていれば、クローヴィスは「そんな顔、しないで」と言ってくる。
「そんな顔をされたら……。こっちも、我慢できなくなるからさ」
マーガレットのそのきれいな唇を指でなぞりながら、クローヴィスはそう言う。その言葉と仕草がやたらと色っぽい所為なのか、身体の奥がゾクゾクとする。
一度覚えた愉悦が身体中を駆け巡ってしまって……もう、どうしようもないほど気持ちよくなりたかった。
最初のコメントを投稿しよう!