男色疑惑のある公爵様の契約妻となりましたが、気がついたら愛されているんですけれど！？

当然のように一緒ですか！？

　結局馬車の中で延々とクローヴィスに言い寄られたマーガレットは、別邸につく頃にはへとへとになっていた。

（こ、これが今後毎日続くとか……無理、よ）

　こんなことならば、クローヴィスのことを助けなければよかった。一瞬そう思ったものの、彼を助けなければそれはそれで厄介なことになっていたのは目に見えるようにわかる。

　それに、クローヴィスを助けたのはほかでもないマーガレットの意思だ。人を責めるわけにはいかない。

　そんなことを考えていれば、御者が別邸の扉を開け、中に入るようにと促してくれる。そのため、マーガレットはクローヴィスと共に別邸に足を踏み入れたのだが……。

「いらっしゃいませ、旦那様、奥様」

　ずらりと並んだ使用人たちに一斉に頭を下げられ、戸惑ってしまった。

「え、えぇっと……」

　あまり来ることがない別邸にも、これほどの使用人がいるのか。そう思い混乱するマーガレットを他所に、クローヴィスは執事らしき男性と会話をしていた。会話の内容は緊張からよく聞こえないが、クローヴィスは終始にこやかな表情だ。

「承知いたしました、旦那様」

　しばらくして執事が深々と頭を下げ、クローヴィスの前から去る。それから、彼は使用人たちに指示を飛ばす。そうすれば、彼らはてきぱきと仕事モードに入っていった。

「だ、旦那様……？」

　何を話していたのかが気になってしまい、マーガレットがクローヴィスの衣服の袖をつかんでそう問う。すると、彼は「とりあえず、疲れただろうから、湯あみでもしてきたらいいよ」と言ってくれた。

「で、ですが……」
「せっかくの泊まりなんだから、ゆっくりとしようね。領地には明日行けばいいし」