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「あ、あのっ!」
クローヴィスの腕の中でマーガレットが暴れても、彼からすればなんてことないことなのだろう。彼はマーガレットの髪の毛に顔を近づけ、その香りをかぐ。
「なんとなく、花の香りみたいなのがするね」
その銀色の髪の毛を少しだけ手に取り、また自身の鼻に近づけて香りをかぐ。その何処となく色っぽい仕草に、マーガレットの心臓がどくんと大きく音を鳴らしていた。
「ば、バラの香り……だ、そうです。侍女が、香油を塗ってくれた、ので」
そんなクローヴィスの様子を見ながら、マーガレットはそっと控えめに声をかける。別邸の侍女が髪の毛にいいのだと言って差し出してくれた香油。香りはバラのものだと言っていたので、彼が言っているのはその香りのことだろうから。
「そっか。……うん、いい感じかな」
何がいい感じなのだろうか。
そう思うマーガレットを他所に、クローヴィスはマーガレットの髪の毛を取っていた手を移動させ、その色白い頬に触れる。だが、その瞬間マーガレットの顔に熱が溜まった。きっと、自分の頬は赤く染まっているだろう。
「なんていうか、マーガレット、最近すごくきれいになったよね」
彼はそう言いながら、マーガレットの唇を指でなぞる。その仕草もとても色っぽく、マーガレットは「な、な」と小さく声を上げることしか出来ない。
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