プロポーズ!?

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「だけど、その足だと……」  マーガレットの手首を咄嗟に掴み、クローヴィスがそう声を上げる。その手を振り払おうとするものの、力が強く彼の手を振り払えない。 「いえ、大丈夫です。こんなもの、実家が没落するよりもずっとマシでございます」  強がりだった。足はとても痛いし、今すぐにでも帰ってしまいたい。でも、弟のためなのだ。  父が落ちぶれたところで所詮自業自得だと言うことが出来る。が、弟は違う。彼は完全に巻き込まれただけの被害者であり、非などない。 「……マーガレット嬢」  彼がもう一度マーガレットの名前を呼ぶ。それに驚き彼の目を見つめれば、彼は「……よし、決めた」と呟いた。  一体、彼は何を決めたのだろうか。  そう思いマーガレットが頭上で疑問符を浮かべていれば、彼はマーガレットの真ん前に跪いた。 「マーガレット嬢。俺と、結婚してくれないか?」  そして、彼は誰もが見惚れてしまいそうな極上の笑みを顔に貼り付け、マーガレットにそう告げてきた。  その言葉に、マーガレットは驚くことしか出来ない。その目を真ん丸にし、クローヴィスのことを見つめ返す。 「正気、ですか?」  彼を見つめてマーガレットの口から出た言葉は、そんな言葉だった。  対し、クローヴィスはもう一度口を開く。今度は、はっきりと。 「俺と……契約結婚、しない?」  今度は砕けた口調だった。けれど、それよりも。 (……契約、結婚?)  それは一体どういう意味だ。そちらに対する疑問の方が、マーガレットには強かった。
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