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白衣を身に纏い、夢への一歩を踏み出した。それなのに、切ない気持ちが胸を締め付けるのはあの日の君へ言えなかった思いのせいだ。
やけに眩しい太陽は汐みたいで、隣の席の女子大生は汐みたいな横顔で。全部、全部汐に似てるなって心が萎んでいく。
後悔があるわけではない。ずっと決めてたから。大学に進学して俺は、研究員になる。そんな夢が、揺らぐほどに好きだった、汐のこと。
嫌になるくらい汐の影を探して、居ないことは分かってるのに。好きになってたんだよ、俺。秘密の場所に連れて行ってくれるより、ずっと前から。
多分、初めましてから好きだった。もう、届かないけど。あの日の汐に伝えられたらよかったのに。
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