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「川田さん!」
佐原くんに後ろから声をかけられた私は、振り向いた。嫌だ。自然に笑えているかしら。
「緊張しましたよ。ドアを開けたらいきなり社長の後ろ姿でしょ。実はいつ突然会ってもいいように、頭の中で受け答えをシミュレーションしてたんですけどね」
「ステキだったよ、佐原くん」
「ありがとうございます。内心、心臓バクバクでしたけどね。僕、この会社、真剣に就職先として検討してるんです。職場の雰囲気もいいし、任せてもらえる仕事の範囲も広そうだし。将来、起業するには社長の近くで修業できる環境が一番でしょ」
すごい。そんなことまで考えているんだ…。
「若いのに感心ね」
「まーたそうやって自分を年寄り扱いする。川田さんはなんか、距離を作ろうとするんだよなぁ、僕と」
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