ラベンダー畑

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10分ほど待つと、ペンションのワゴンが到着する。 「お待たせしました。川田さんですね」 「はい。川田です。お世話になります」 「バス、長時間で疲れたでしょう」 「いえ、ほとんど眠っていましたから」 私は笑顔で答えた。オーナーは優しい微笑みを返してくれる。ヒゲのおじさんだ。年齢は50代半ばくらいだろうか。 「うちは夫婦でやってる小さなペンションですからね。遠慮せず、ご自宅だと思ってくつろいでくださいね」 「ありがとうございます」 10分ほどでペンションに到着する。ログハウス風の洒落た作りだった。部屋に案内され、荷物を置いてベッドに横になる。 「…疲れた」 バスの旅に疲れたというより、泣き疲れたのが本音だったが。
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