ラベンダー畑

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さっそく自転車に乗りこんだ。坂道が多いから、すぐに汗をかく。ペットボトルの水を飲み、持参したタオルで首を拭った。ペアネックレスのチェーンが指に触れて、また涙が出そうになる。涙が零れないように顔を上げ、見渡すと、ラベンダーの紫色がどこまでも広がっている。 「…紫色の絨毯」 思わずつぶやいていた。キレイだったけれど、どこか寂しい色にも見える。それは私の気持ちのせいだ。この景色を隆くんと見たかった。そうできなくしたのは自分なのだが。 私は小一時間走って、昼食を食べにジャガイモ料理のレストランに寄り、ペンションに帰り着いた。 「おかえりなさい。ラベンダー、キレイだったでしょ」 フロントで奥さんが声をかけてくれる。 「はい、とってもキレイでした。明日は気球に乗ってみようかと」 「いいわね、じゃあ、予約を入れておくわね」 「ありがとうございます」 部屋に戻ろうとした私に、奥さんが声をかけた。 「夕食は19時からをご希望よね。お風呂は今すぐでも入れますからね」
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