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夕食は文句無しに美味しかった。オーナーは東京で長年イタリア料理のシェフをしていて、数年前に奥さんと故郷の富良野に移り住みペンションを始めたそうだ。
ダイニングには私の他にも数組の宿泊客がいた。一人なのは私だけだ。他はカップルか、家族連れ。オーナー夫婦は気を遣ってか、私にあれこれ話しかけてくれる。
「お口に合いますか?」
「はい。とっても。この鮭のホイル焼き、本当に美味しいです。身が柔らかくてフカフカで」
「良かった。ご飯のお代わりありますからね。ご希望ならワインも」
ワイン…。
私は、隆くんとのデートでお台場に行ったとき、ワインを飲みすぎて酔っぱらってしまったことを思い出した。彼に背負われて感じたお台場の海を渡る風、ほんとうに心地よかったな。
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