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そして初めてのキス。
『沙耶さんはさぁ、すぐに年上ぶるけどけっこう手間のかかるタイプなんじゃない? 実は。俺、放っておけないよ』
『これから先、何があっても沙耶さんは一人じゃありません。俺がいるってこと忘れないでください』
『社会人になったら、ね。俺、必ず沙耶さんをもらいに行くから。それまでの間に、旦那のことなんて忘れさせてみせるから』
とめどなく思い出が溢れて、涙が出そうになる。
ダメだ。ここで泣いたら。部屋に戻ることにしよう。
「すみません…。私、ちょっと気分が悪くなってしまって。上に戻ってもいいでしょうか。お食事、途中なんですけど…」
「あら、大変。お部屋にお連れしますね」
奥さんが私の肩に手を添えて、部屋までついてきてくれる。
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