年下の男の子

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火曜日、私は朝からの勤務だった。今日は佐原くんが会社に来る日だ。勤務は13時から。朝から気が付くと何度も時計を見て、佐原くんの出社を心待ちにしている自分がいた。 そして、もう少しで13時というとき、ガチャリと事務所の戸が開いて入ってきたのは… 「社長!」 「お疲れ様です!」 この小さな電気機器メーカーの社長だった。彼はこの会社以外にも複数の会社を経営しており、事務所には月に1~2度しか姿を現さない。先月働き始めたばかりの佐原くんとは、確かまだ顔を合わせていないはずだ。 「いや、立たなくていいよ。仕事を続けて。俺は皆の様子を見に来ただけだからな!」 どうやら今日は上機嫌らしい。社長は感情の起伏が激しい…もとい、感情表現が豊かなタイプだが、情に厚いところもあり社員からの人気は上々だ。
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