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つくづく、エリナは真っ直ぐな奴だ。
俺に対する気持ちがダイレクトに伝わってくる。決して悪い気はしない。だけど、どうせなら俺以外の奴にその想いを注いでほしい。こいつには幸せになって欲しいと心から思っているから。
「悪い。予定あるんだ」
「まさか…川田さんと?」
エリナが傷ついたような表情を俺に向ける。ああ…また泣かれたらまずい。俺はエリナの肩に手を添えると、足早に歩きだす。質問には敢えて答えず、問いかけた。
「俺の好きな人、川田さんだってなんでわかった?」
「だって、33歳で、既婚で、隆が好きになりそうな魅力的な女性なんて、職場内で彼女しかいないじゃない」
…それもそうだ。年齢なんて特定されやすい情報、与えるんじゃなかったな。
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