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待ち合わせ場所には俺のほうが早く着いた。時刻は18:00ちょうど。ヘルメットを脱ぎ、あたりを見渡すと、駐車場の入口から川田さんが駆け寄ってくるのが見えた。
「…おまたせ」
はにかんだような笑みを向けてくる。色白の頬に紅みが差して、まるで少女のようだ。少し息が上がっている。走ってくれたのだろうか。
「夢みたいだな。川田さんと待ち合わせなんて」
俺は言った。川田さんはそれには答えず
「これが佐原くん愛用のバイク? かっこいいねぇ。私、バイクって乗ったことがないのよ」
黒い車体に手のひらでそっと触れている。
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