遭遇

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「これのおかげでバイト三昧ですよ。半分は親父に借りたので、それを返済しているところです」 「そうなんだ。偉いねぇ。自分で買ったんだね」 ああ、やっぱり子供扱いだよなぁ…。そりゃそうか。 「川田さん、行きましょう。ここだと人目もあるので」 『人目もあるので』。 自分が発したその言葉に、これからしようとしていることが、世間一般的には悪いことなのだということに今更気付く。人妻をバイクで連れ去って、デート。肉体関係があるとかないとか、周りから見たらわからないもんな。 「川田さん、これ、ヘルメット。つけたことないですよね」 俺は真新しい白いヘルメットを差し出した。彼女はそれを受け取り 「ありがとう。けっこう重いのね」 「かぶってみて。ひもは、俺が締めますから」 彼女は小さく頷く。ヘルメットを装着すると、バイクに彼女を乗せる。
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