284人が本棚に入れています
本棚に追加
「これのおかげでバイト三昧ですよ。半分は親父に借りたので、それを返済しているところです」
「そうなんだ。偉いねぇ。自分で買ったんだね」
ああ、やっぱり子供扱いだよなぁ…。そりゃそうか。
「川田さん、行きましょう。ここだと人目もあるので」
『人目もあるので』。
自分が発したその言葉に、これからしようとしていることが、世間一般的には悪いことなのだということに今更気付く。人妻をバイクで連れ去って、デート。肉体関係があるとかないとか、周りから見たらわからないもんな。
「川田さん、これ、ヘルメット。つけたことないですよね」
俺は真新しい白いヘルメットを差し出した。彼女はそれを受け取り
「ありがとう。けっこう重いのね」
「かぶってみて。ひもは、俺が締めますから」
彼女は小さく頷く。ヘルメットを装着すると、バイクに彼女を乗せる。
最初のコメントを投稿しよう!