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「そうでもないですよ」
沙耶さんの口から出た「好き」という言葉に動揺する。まともに彼女の目が見られない俺は、何かを言う代わりにリュックの中から紙包みを取り出した。
「本当は帰り際に渡すつもりだったんですけど」
俺も彼女にプレゼントを用意していた。
「ピアスです。今日の記念に。沙耶さんに似合いそうだと思って。高いものじゃないんですけど…」
彼女は瞳を輝かせ
「え~っ、私、誕生日じゃないよ? でも嬉しい! ありがとう!」
職場では見たことのない屈託のない笑顔で言うと、さっそく包みを開けている。
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