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それから先、俺たちは無言だった。
沙耶さんの旦那と相手の女性が座った場所は俺達の席からは離れていたが、何か話すとそれが向こうに聞こえてしまいそうに思えた。
「沙耶さん、出ましょう」
俺は提案した。
「えっ…だって、せっかくのコース料理、まだ運ばれてきたばかりなのに」
「俺は沙耶さんと過ごしたいだけなんだ。場所も料理も何だって構わないんです。このレストランにはまた改めて来ましょう」
テーブルの上に置かれた沙耶さんの手に、自分の手を重ねた。
「大丈夫。俺がついています」
幸い、この席は入口に近いので、二人には気づかれずに店を出られそうだ。
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