おみくじ

1/1
前へ
/1ページ
次へ
カランカランと神社の鈴の音。 かしわ手2つ。 玉砂利を踏む音、話し声など。 彼、聞こえない声量で、 「~~~ますように」 彼女は聞こえる声量で、 「花が…咲きますように!」 雑踏音─。 ざわざわ。 彼「おまえの願い事、やっぱ受験か。だよなー。俺にとっても受験重いわ」 彼女「…うん」 彼「何だよ、元気ねーじゃん?」 彼女「…そ、かな?」 かしわ手や鈴の音─。 彼「そんなんじゃ、おみくじ失敗するぞ?」 彼女「…うん、そ、かもね」 彼「ホントどーした? 具合悪いのか?」 彼女「あ、いや、そうゆうんじゃないけど…」 彼「けど?」 彼女「おみくじって、信じてる?」 彼「まぁ、最初の運試しみてーな?」 彼女「失敗したらどうするの? 引き直すの?」 彼「あれはそうゆうんじゃないだろ。一発勝負的な感じだな」 彼女「…じゃあ、先に引いてよ。それ、一部だけ見せて」 彼「まぁ、いいけど。ヘンなやつ」 玉砂利の音、おみくじ振る音─。もう一度、玉砂利の音─。 彼「にひひ」 彼女「どーだった?」 彼「大吉!」 彼女「見せてくれる?」 紙の音ぺらり。 彼「勝負運とこ見てみ? 受験、勝ったな俺」 彼女「恋愛もいいね」 彼「信心怠らなければ叶う。つっても無宗教なんだが」 彼女「信心ないの?」 彼「信じる心だろ、つまり。誰にって書いてねーもん」 彼女「じゃあ、信じてるものはあるんだ?」 彼「おう」 彼女「いいなあ。自信あって」 彼「自信もそーだけど、信じてりゃいいんだよ、なんだって」 彼女「…うん、そ、かもね」 彼「少なくとも、恋は叶うって書いてあんだ。つまり、おまえのおみくじも大吉だと断言する」 彼女「えっ?」 彼「引いてきてみろよ。大吉じゃなかったら、俺の大吉を分けてやる。二人で叶えてよしとしようぜ」 きらきら音─。 ハート渦巻く音─。 彼女「うんっっ」 玉砂利、おみくじ振る音─。 彼「どーだった、結果は?」 彼女「…うん」 彼「てか、ニヤケすぎ」 彼女「私も…大吉!!!」 しゃらしゃら、きらきら。 カランカラン鈴の音。 かしわ手2つからの、 主題歌フェードイン♪♪ おしまい
/1ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加