1

4/12
前へ
/79ページ
次へ
「それじゃなんのためのソロなのか分かんないじゃん、俺は一人でもやれるって証明したいんだよ。一人でやっても映えるようにするのが、アレンジャーの役目なんじゃないの?」  坂上はなんとか感情を抑えつつも、つい早口にまくし立ててしまった。 「そうだよね、ごめん」  アズマは動じず、まったく悪いとは思ってなさそうな顔で微笑む。その笑顔に引き寄せられるように、またキスをする。そんな自分が少しいまいましいが、もう目の前のアズマのことしか考えられない。 「なんでいつもそんな、痛いのこらえてるみたいな顔でキスすんの?」  アズマの声はやはり、少し甘くて少し冷たい。眉をしかめ目が鋭くなっている坂上の神経質そうな表情が、アズマの肌に沈む。  あんたが手に入らないからだ、とは言わない。言えない。無言で白い肌に唇を這わせ、アズマの黒いシャツの前を性急にはだける。いつもながら、白い肌が黒い服に映えてなまめかしい。 「で、この曲のアレンジはいつまでに上げればいい?」  坂上を受け入れながら、快感にわずかに語尾を震わせてアズマが言う。 「三日ぐらいで」  アズマの肌を貪りながらほとんど反射的に答えた。ソファの背もたれにのけぞるように身体を預けている、アズマのズボンの前をはだける。下着越しにも分かる、大きく育っている欲情。 「いつもは火がつくのが遅いのにね」 「……こんなとこで抱くからだろ」  下着ごとズボンを下ろされて、アズマの視線が恥ずかしげに横に流れる。ソファの上、はだけた黒いシャツの下で胸の上までまくり上げられたTシャツ、太ももの中程まで下げられたズボン。白い身体の中心、黒い茂みの中で限界まで勃ち上がっているアズマ自身。 「アズマさんを興奮させるには、スリルか。誰も来ないから大丈夫だよ」  坂上はじっくりと、目の前のアズマの姿を味わうように眺める。 「いいから早くして」  潤んだ瞳で見上げられ、坂上は興奮に身体が熱くなった。だが余裕がないと思われたくないから、少し笑って、首筋に舌を這わせながらアズマの欲情を愛撫する。
/79ページ

最初のコメントを投稿しよう!

24人が本棚に入れています
本棚に追加