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「ん、んんっ……」  顔を見られたくないのか、坂上の頭を抱えるようにするアズマの腕。あっさり振りほどいてつかみ、坂上は顔を上げた。 「いい顔。やらしくて、すげえきれいだ」  潤んだ瞳、わずかに上気した頬。半開きの薄い唇がつややかで。表情だけでなく、坂上を締めつけているアズマの内部も限界を訴えている。 「でも、そろそろこのぐらいにしとこうか。また今度ゆっくりね」  肌をあわせている間、アズマは坂上の腕の中で翻弄され、声を我慢したり顔を隠したりという抵抗もかわいいものに思える。  坂上はアズマをしっかりと抱き、腰を激しく揺らした。 「あっ、あ、あっ……!」  ソファのきしみと重なるあえぎ。アズマの吐情を受け止めるためにも、ぬるつく先端を包んで刺激する。 「どう、気持ちいい? もうイキそう?」  快感に追いつめられた声で坂上が訊くと、アズマも言葉にならない声で応える。次の瞬間、坂上の手の中に吐き出される熱。喉の奥でくぐもった声を上げ、坂上も達した。 「仕事の続き、しようか」  アズマは大きく息をつくと、何事もなかったかのように坂上の膝から下りた。眼鏡をかけ、ミキシングコンソールの上に置いてあったボックスティッシュを手に取って適当に身体を拭き、さっさと服を直す。服やソファが汚れていないか見回し、ソファに転がっていたペットボトルのお茶を飲む。 「ずいぶん切り替えが早いね」  坂上は大げさなほどに肩をすくめた。いつもホテルで寝る時には、終わると余韻を楽しむかのようにしばらく動かないのに、場所が場所だからか。 「そりゃそうだよ、見られたらどうする気?」 「大丈夫だって言ったでしょ」  坂上はことさらにゆっくり後始末をし、ゴムや汚れたティッシュなどをまとめると尻ポケットに無理やり押しこんだ。坂上も内心はおどおどし落ち着かずにいたが、こういう大胆不敵なことができるのだとアズマに見せたかった。 「さて、お望み通り仕事の続きを」  わざとらしく言い、坂上は手にした譜面をアズマに差し出した。
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