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大和川を見下ろす
丘のいただきに
【児童福祉養護施設太陽学園 】
はあった
新品の校舎のようではなく
かといって
みすぼらしい建物でもなく
壁のペンキがはがれ
落ちているのをのぞけば
ちょっとした教会のような
施設が草原に
ポツリとたたずんでいた
よく磨かれた床を歩くと
大勢の人が一つ屋根の下で
暮らしている匂いが鼻についた・・・
それは けっして一般家庭には
漂っていない施設独特の
匂いで・・・・・
そしてあたしは
今はそこの園長室にいた
胃を捩られるような
緊張が全身に降りかかっている
学園長は私を呼び出して
大きな園長の机に座って
パイプをくゆらせている
学園長は
何かもの想いにふけっていた
あたしは学園長の後ろにある
窓の外で自由にイヌワシが
空を低く旋回して飛んでいるのを
ボーっと見つめていた・・・・・・
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