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というのも、今回の楽曲はこれまでの紗奈のものとは大きく違っていて、今までにない紗奈を演出することになったからだ。
これまでの紗奈は、かわいらしい女の子というイメージそのままに、ポップでキュートな衣装が多かった。
自分では着られそうにないパステルカラーだらけの衣装でも、紗奈が着ているとすべてがかわいく見えた。
ところが、次の新曲は戦国時代を力強く生き抜いた女性を主役とする映画の主題歌ということで、紗奈の衣装もそれに合わせた和テイストのものになることになっている。
これまでの紗奈にはなかった新しい一面を見せることになるわけで、この曲は今後の紗奈の活動を占う重要なものになると言われている。
和奏はそんな大事な仕事を託されたのだ。
こうなると、嬉しさよりもプレッシャーのほうが大きくなるのも当然だ。
(こんな感じでいいのかな……)
和奏は今、自分が用意した衣装を前に、煮え切らない思いでいる。
デザイナーがイメージイラストを描き起こしてくれて、それをもとに考えた衣装を用意した。
力強さと繊細さを併せ持ち、それでいて紗奈らしいかわいらしさも消さないようにと考えられたらしいが、デザイナーのイメージ通りに衣装を用意できている気がしないのである。
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